日露戦争2 ロシア革命とソ連のベストセラー小説「ツシマ」
「ツシマ」は実話に基づく小説だが、ソ連の作品らしく階級の底辺にいる人々が「英雄」として登場する。その中にヴォウコヴィツキという若きヒーローがいる。この人は戦艦ニコライ1世に乗船していた士官候補生で、日本海軍の大攻撃の中で降伏しようとする艦長に断固抗議し戦いを続行した。結局ヴォウコヴィツキも最後には捕虜になるのだが、帰国後、軍人最高位の勲章聖ジョージ・クロスを授与されている。 「ツシマ」はスターリン賞を受賞し、第2次大戦初期の1940年に改訂版が出版された。 全てが独裁者の思惑により決まるソ連で、この時期に改訂版が出た背景は何だったのだろうか。翌年スターリンは日本と不可侵条約を結んでいるが、近い将来日本と戦争する可能性を見通し、対日感情を逆撫でしておこういう思惑でもあったのだろうか。 それにしても人の運命というのはわからない。「ツシマ」の改訂版が出回る頃、英雄ヴォウコヴィツキは、よりによってソ連の捕虜収容所で明日の運命もわからない日々を送っていた。 (続く) |



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