中世から続くジンジャーブレッドの里トルン Toruń, POLAND


 コペルニクスが生まれた町トルンの名物といえば、ポーランド語でピェルニク(piernik, 複数形はpierniki)と呼ばれるジンジャーブレッドだ。町のあちこちに専門店があり、コペルニクスやナポレオン、そしてフレデリック・ショパンもヨハネ・パウロ2世も大好きだったというピェルニクを求める人達で賑わっている。

(上の写真:トルンのジンジャーブレッドの老舗コペルニク(コペルニクス)、下:店内の様子。壁に展示されたハート型のジンジャーブレッドには「心を込めて250年間焼いてます」と書かれている。)


 トルンのピェルニクの歴史は長い。古くは1380年にニクロス・チャン(Niclos Czan)という職人がピェルニクを焼いたという記録が残っているそうだ。

 ピェルニク独特の味は地元の蜂蜜とエキゾチックなスパイスの微妙なバランスで生まれる。ピェルニクに使われる胡椒、シナモン、ナツメグ、生姜、クローブ、カルダモン、アニシード… などは、かつては中近東やインド、東南アジアから輸入される超高級スパイスだった。贅沢な素材を使ったピェルニクは、交易都市として繁栄したトルンならではの超高級お菓子だったのだ。




 トルンの博物館には、数百年前のピェルニクの型が展示されている。町の紋章や人物像、馬車や天使など、いずれも繊細にして複雑でとても美しい。昔はこんな洒落たデザインの型を使って、職人が一つ一つ腕を振るって丁寧にピェルニクを作っていたのだろう。


コペルニクス通りでジンジャーブレッド店の看板を見つけた。

 ピェルニクも時代とともに工場生産されるようになり、19世紀には日本にも輸出されていたそうだ。

 現在、トルンのピェルニクは世界各地に出回っているそうなので、機会があれば是非お試しください。


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